10月17日まで、後1日! と思っていたら、日付が変わって当日になってしまいました。
(2)まではリリース日前に出そうと思っていたのですが、間に合いませんでした~。
「ネタバレ」です。
注意事項は
(1)で書いておきました。
(2)も読んでやろうというかただけ、「つづきを読む」からどうぞ。
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頭から血を垂らした男が、女性に向って凶器を振りかざしているのを見たら、
通り魔か変質者が女性を襲っていると思うのが当たり前であろう。
誰もが、女性に対して「危ない!」と感じるだろうが、
誰も、男に対して「危ない!」と感じるはずがない。
ところが、まさしく今の白チンがそうだった。
しかし、距離を保って様子を窺っていた人々にしてみれば、異常者以外の何者でもない。
携帯片手に、警察だの救急車だのとざわめき出している。
白チンに勝ち目はないのだが、それが分かっているのは赤りんだけだった。
「シロっ、やめとけ!」
だが、赤りんが声を出すより先に、白チンは凶器を振り下ろし、野次馬から悲鳴が上がった。
鈍い音がし、金属音が響く、そして白チンは再びアスファルトの上に崩れ落ちた。
目的を果たせなかった鉄パイプが、カラカラと転がっていく。
赤りんは、どうすることが一番面倒が少ないか鈍く痛む頭で考え、
何はともあれ、長居は無用だと判断した。
ひと騒動終わるまで、気を失った振りをしている方が得策だとも思ったのだが、
やはり警察沙汰は避けたい。
手を伸ばしてポケットの金を確認すると、自分の財布に仕舞い直した。
頭に響かないよう静かに起き上がり、倒れている後輩と債務者だった男を蹴り起こす。
驚いてスグに目を開けた男の耳元で、
「大変だ!逃げた方がいいぞ」
と小さく告げてやると、訳も分からず転げるようにして逃げて行った。
女の力が白チンを上回っていた証拠に、後輩はまだ頭を抱えて蹲っている。
赤りんは軽く舌打ちをし、白チンの方をもう一度見た。
腕で上半身を支えた白チンが、地面に尻を付いたまま後ずさりしていた。
女は、白チンを追い詰めるようにゆっくり移動しながら見下ろしている。
そんな二人を囲む人だかりの向こうに警官の姿が見えた。
まずい。
「おい。逃げるぞ!」
いつまでも立とうとしない後輩を急かす。
・・・?
その時、赤りんの背後で女の気配がした。
慌てて白チンに視線を戻すと、仰向けに倒れている。動く気配がない。
そこにいたはずの女の姿もない。警官が側まで来ていた。
急いで反対側を振り返ると、今まさに路地から出て行く女の後姿が見えた。
すぐさま赤りんは、つられるように女のあとを追った。
もともと追跡しようなどと思った訳ではないが、
どれほどの速さなのか、次の角を曲がったあたりで既に女の姿は見えなくなっていた。
それでも、制止を求める警官の声を振り切るまでは、惰性で走り続け、
川沿いの公園まで辿り着いたところで、ペースを落としガードレールに腰を下ろした。
「ケガ人だっつーんだよ」
ぼやきながら煙草を取り出すと、最後の一本だった。
火を付けたとき、救急車の音が聞こえてきた。
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第7弾として後日談に着手しておりますが、じぇーんじぇん仕上がりません。
もうしばらくお待ちください・・・<(_ _)>